2018年4月21日土曜日

「モニタリングポストの継続配置を求める市民の会」より

この度は「モニタリングポスト(リアルタイム線量測定システム)の継続配置を求める市民の会」の原子力規制委員会への要請にご賛同いただき、ありがとうございました。4日間という短期間の間に県内外、海外からも賛同があり182団体に上りました。4月16日参議院議員会館におきまして、原子力規制委員会の事務局である、原子力規制庁放射線防護グループ監視情報課の武山課長に提出いたしました。規制庁は「線量が低く安定している現状で、性能も低く、劣化しているモニタリングポストはもう役割を終えている」と繰り返しましたが、自治体の意見は聞くとの答えでした。今後は福島県や各自治体へも働きかけをしていきますので、皆さまのお力添えを今後ともよろしくお願いたします。以下、賛同団体一覧と、メディアの報道を貼り付けます。関係団体に拡散していただければ、幸いです。

■賛同団体
モニタリングポスト(リアルタイム線量測定システム)の継続配置を求める賛同団体

■報道 
「民の声新聞」
UPULAN動画
アワプラネットTV
共同通信 <全国15社に配信されました>
「共同通信」より

■署名サイト

モニタリングポストを撤去しないでください‼

■以下に要請書

2018年3月29日木曜日

会報『道しるべ』第9号発行しました。

会報『道しるべ』第9号ができました。

 ↑ このページからダウンロードください。

◆今後の口頭弁論期日について
本裁判は福島地方裁判所(福島市)で開かれます。今後の予定は次の通りです。傍聴席を満席にして、弁護団原告団を応援しましょう。ぜひ、お出かけください。

・第 14回口頭弁論期日 2018年 4月 25日(水曜日 )14:00より
・第 15回口頭弁論期日 2018年 7月 9日(月曜日 )

福島地方裁判所:福島市花園町 5-38 電話番号 024-534-2156

2018年3月24日土曜日

第14回子ども脱被ばく裁判のご案内(4月25日)


子ども脱被ばく裁判原告、支援者のみなさま

いつも子ども脱被ばく裁判をご支援くださり、感謝致します。第14回子ども脱被ばく裁判のご案内を致します。
弁護団は次の書面を出す予定でいます。これ以外に低線量被ばく、内部被ばくの危険性について専門家の意見書や準備書面が追加される可能性があります。
① 土壌から再浮遊したセシウムボールを体内に取り組んだ場合の危険性について述べられた河野益近氏(元京都大学大学院工学研究科)の意見書
② 上記意見に基づく準備書面
③ 原告らの陳述書を踏まえた損害についての準備書面
④ 原子力緊急事態宣言の内容について、被告国に対し更なる急釈明
また、今回は裁判長交代に伴い更新弁論となり、原告らの従前の主張をまとめる内容の陳述が行われる予定です。2018年3月16日東京地裁判決は、LNT仮説の合理性を認めました。私たちはこれを追い風にして、低線量被ばく・内部ひばくの危険性を主張していきたいと思います。裁判に先立ち、山田國廣氏を迎え学習会を開催します。内部被ばくの危険性を共に学びましょう。今回期日から新たな裁判長の下で裁判が始まります。傍聴席を埋め尽くして、新しい裁判長に公正な裁判をアピールしましょう。多数のご参加を心よりお待ちしています。第15回口頭弁論期日は2018年7月9日(月)です。詳細は追ってご案内します。今から予定に入れておいてください。


子ども脱被ばく裁判の会原告団代表 今野寿美雄
共同代表 水戸喜世子 片岡輝美



■第14回子ども脱被ばく裁判
日時:2018年4月25日(水)10:00〜17:00
会場:福島市民会館第2ホール 福島市霞町1-52 024-535-0111
裁判:福島地方裁判所 福島市花園町5-38 024-534-2156

■プログラ
10:00 開会のあいさつ・署名数報告
10:20 講演「初期被曝の衝撃」 山田國廣氏 質疑応答
12:00 昼食と休憩
12:30 本日の争点説明
13:00 地裁へ移動
13:15 地裁前集会
13:30 傍聴券配布
13:45 入廷
14:00 開廷・意見陳述
15:30 閉廷
15:45 記者会見
16:00 本日の裁判と今後について意見交換
17:00 閉会のあいさつ

■山田國廣氏プロフィール:1943年大阪生まれ。1969年3月、京都工芸繊維大学工芸学部大学院修了。同年4月より大阪大学工学部助手。1986年、大阪大学工学博士。1990年より大阪大学を辞職し循環科学研究室主宰。1997年より京都精華大学人文学部教授。2015年4月から京都精華大学名誉教授。NPO法人木野環境理事。2011年5月から福島市通学路の放射能汚染除染のモデル構築を開始し、それまで避けてきた放射能汚染問題にはじめて取り組む。著書に「初期被曝の衝撃」「水循環思考」「下水道革命」「1億人の環境家計簿」「フロンガスが地球を破壊する」「放射能除染の原理とマニュアル」他多数

2018年3月22日木曜日

「3.21さようなら原発全国集会」報告<片岡輝美>



子ども脱被ばく裁判の会のみなさま

片岡輝美です。日頃より大変お世話になっております。昨日、代々木公園で開催された3.21さようなら原発全国集会には、みずれが降りしきる中12000人が集まりました。極寒の中でしたが、参加者の思いはとても熱いものでした。原告の長谷川克己さんは自主避難者の立場から、私は原発事故被害者団体連絡会ひだんれんから依頼され、子ども脱被ばく裁判に関わる者、福島で生きている者としてアピールを行いました。私の背後には、今野原告団長やひだんれんのみなさんが立ち応援してくださいました。画像や私のアピールは子ども脱被ばく裁判ブログに掲載しますので、どうぞご覧ください。
ご参加くださったみなさま、本当にお疲れ様でした。くれぐれもお風邪など召しませんように。脱被ばく実現ネットさんはブースを設置しておられましたが、悪天候と帰り道のことでご挨拶にも行けず、大変ご無礼しましたこと、お許しください。

第14回裁判は4月25日(水)です。今晩の運営会議で日程の最終確認を行い、ご案内を始めます。新しい裁判官のもとでの審理となります。今度は春の福島市でお目にかかります。どうぞお気をつけてお出かけください。


片岡輝美

🔻当日のスピーチは下記にあります。


2018年1月27日土曜日

第13回子ども脱被ばく裁判報告と感謝


1月22日(月)、第13回子ども脱被ばく裁判が開かれました。南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟期日と重なりましたが、初めて参加する方々もおられ、会場は全国から50名を越える支援者が集まりました。当日の学習会、裁判での主張、原告の意見陳述は全て「ホットパーティクル」がテーマでした。午前の学習会には河野益近さんをお招きし「放射線の危険性と危険度―環境に存在する福島原発事故由来の強放射性不溶性微粒子」と題してお話をいただきました。河野さんは、外部被曝の危険度はいくつかの疫学調査の結果から明らかになっているが、内部被曝の危険度については具体的な研究は見当たらないこと。福一原発爆発で放出されたセシウムボールと呼ばれる強放射性不溶性微粒子が、体内でどのような影響を与えるかは全く分かっていないこと。特に呼吸を通して肺の内部に沈着した微粒子は、不溶性なので容易に体外に排出されることなく、肺胞の局所に大きな被曝を与える可能性を示唆しました。(講演資料を添付しますので、ご覧ください)

 弁護団は法廷で、不溶性放射性微粒子の拡散状況や内部被曝のリスクは明らかになっておらず、従来のICRPの評価が適切ではない事も国際的な共通認識になっている。セシウムボールの内部被曝リスクの有無や程度が科学的に明確になるまで子どもたちを守る必要がないという考え方は誤りである。子どもたちはモルモットではないと主張しました。意見陳述に立った原告は、野球に打ち込む時の息子が最も輝いている。また彼を応援する自分も幸せを感じる。しかし、舞い上がる埃の中にあるセシウムボールが息子の健康を蝕むのではないかとの不安が募る思いと、だからこそ土壌汚染の測定をしてほしいと、被告を見据えながら訴えました。また、国や福島県が引いた避難地域に関わらず、福島県全体を補償や支援対象とすべきであることも主張しました。

 集会参加者からも、内部被曝リスクを取り上げることは他の裁判にはない貴重な訴えであるとの意見もあり、本裁判の大きな焦点を参加者で共有した1日でした。当日裁判所に提出された署名は2327筆、総計で50830筆になりましたこと、感謝を持って報告します。さらに、この度、公正な裁判判決を求める第3回署名が始まりました。本文でも、いよいよ本裁判が内部被曝リスクの問題を議論する段階になったことを明記しています。これまでは裁判の会が中心でしたが、この度は原告団が中心となって署名を集めます。これまで署名した方も署名ができますので、さらに多くの署名を集め、公正な審議判決を求める思いを裁判所に伝えたいと思います。署名の〆切は裁判期日の約1週間前とします。署名用紙が必要な方は事務局アドレスにご連絡ください。
第14回裁判期日は4月25日(水)です。法廷を満席にして、裁判を支援しましょう。

第3回署名用紙(PDF)

放射線の危険性と危険度

2017年12月8日金曜日

第13回子ども脱被ばく裁判口頭弁論のご案内

いつも子ども脱被ばく裁判をお支えくださり、ありがとうございます。第13回口頭弁論期日のご案内です。
第12回口頭弁論で、金澤秀樹裁判長から、今後、子ども人権裁判を親子裁判と分離し結審をするか否かについて、次回期日で回答をするように求められました。子ども人権裁判は、原告小中学生に安全な環境を求める権利を認めることを求めています。その性質上、今暫く続くであろう親子裁判の結審まで待つかどうかが問われたのです。それを受け、弁護団と原告団が協議を行い、これまで通りの併合審議を結論としました。その理由として、分離した場合の弁護団・原告団・支援団の負担増も考慮されましたが、弁護団から、今後、土壌汚染の実態調査とセシウムボールによる内部被ばくのリスクを追及し、子ども人権裁判を「放射能被ばくによる危険の基準作り」として位置づけたいとの方向性が示され、原告が了解したことによります。

第13回口頭弁論期日は、これまでの裁判で問われることがなかった「放射能被ばくの危険」を問う争点に、いよいよ迫っていきます。また、私たちの学びの機会として、裁判前の集会では、40年以上環境放射線測定を行い、福島原発事故後は精力的な土壌汚染調査を続け、そのリスクを警鐘しておられる河野益近氏(元京都大学原子核工学)をお迎えして、土壌汚染の現状とリスクについてご講演いただきます。

第2回署名へのご協力も重ねて感謝致します。第14回裁判期日(2018年4月25日)まで集約のご協力をお願いします。続く第3回署名は、第14回裁判期日からの開始を目指し、原告団が作成中です。最も寒さが厳しい季節の裁判となりますが、熱い思いを持って弁護団原告団を応援したいと思います。多数のご参加を心よりお待ちしております。第14回口頭弁論期日は2018年4月25日(水)です。集会会場は追ってお知らせ致します。今から予定に入れてくださいますよう、お願い致します。

■第13回子ども脱被ばく裁判口頭弁論日程
■日時:2018年1月22日(月)午前10時00分〜午後5時00分
■会場:福島市民会館301号室 〒960-8021福島市霞町1番52号 ℡024-535-0111
    http://www.city.fukushima.fukushima.jp/site/shisetsu/shisetu-bunka26.html
    福島地方裁判所 〒960-8512   福島市花園町5-38 ℡024-534-2156

■プログラム
10:00 開会のあいさつ・署名数報告・事務局の今後について
10:20 講演「土壌汚染の実態とリスク(仮題)」 河野益近氏 質疑応答
12:00 昼食と休憩
12:40 支援団報告
13:15 地裁へ移動
13:30 地裁前集会
14:00 傍聴券配布
14:15 入廷
14:30 開廷・意見陳述
15:30 閉廷
15:45 記者会見
16:00 本日の裁判と今後について意見交換
17:00 閉会のあいさつ

■河野益近氏プロフィール
1953年愛媛県生まれ。実家は伊方原発から約8kmの地点。1977年から放射能の測定を開始。1979年まで芝浦工業大学大学院・水戸巌氏の元で研究。東京大学アイソトープ総合センターを経て、2013年、京都大学大学院工学研究科で定年を迎えた。専門は環境放射能、放射線計測、核計測を応用した極微量元素分析。第一種放射線取扱主任者。現在は、淡路島で農作業をしながら、月に一度京都で「放射能なんでも相談室」で相談に応じている。福島原発事故以降、年に数回福島で放射能調査を行っている。今後は、ホットパーティクル(セシウムボール)の調査に力を注ぐ。

2017年10月23日月曜日

第12回子ども脱被ばく裁判報告と感謝


みなさま、子ども脱被ばく裁判 第12回口頭弁論が 昨日10月18日福島地裁(金沢秀樹裁判長)で開かれました。傍聴に参加してくださったみなさま、ご苦労さまでした。今回の原告陳述は荒木田 岳さんでした。陳述後の帰り道で荒木田さんは「生活を根こそぎ破壊された当時者の思いを、あの加害者の顔ぶれに届く言葉にしたら、あんな言葉になりました」と冷たく述懐された内容を要約すれば、「事故直後せめて法にのっとり手続き通りに対応していたら、子どもの被ばくは回避、軽減できていたはず」、「事故後は、自らの失政を反省するどころか、脱法行為を覆い隠し、正当化するための安全神話を流布することに明け暮れている」、「そんな異常さが、今日、立憲主義や法の支配を危機に陥れている」といった内容でした。行政が行った違法行為の事実、私たちは既に忘却の彼方に追いやっていないでしょうか。裁判の原点に引き戻される思いでした。
この日、判決が出たばかりの「なりわい訴訟」の原告さん、広島からの仏教団体、大阪からの初参加の方など、新しいお仲間と繋がり、活発なご意見をいただきました。東京、神戸、大阪からの支援者を含め 約60余名が参加、傍聴者は45名でした。報告された追加署名数は今回1434筆、延べ48523筆となりました。ご協力に心からのお礼を申し上げます。署名は今後も継続をいたしますので、今後ともなにとぞよろしくお願い申し上げます。法廷では4人の弁護人が弁論を展開しました。その内容を井戸弁護団長が要約しています。子どもを被ばくから守るために 何を焦点にしているか、ぜひともお読みいただきご意見をお寄せくださいますようにお願い申し上げます。

(文責水戸)



H29.10.18第12回子ども脱被ばく裁判口頭弁論期日のご報告
弁護団長 井 戸 謙 一

本日は、東京地裁の南相馬・避難20mSv基準撤回訴訟と重なったにも関わらず、多数の方が福島地裁に駆けつけていただきました。
1 本日、原告側は、次の準備書面を提出しました。
(1) 準備書面40
ICRPが使う「しきい値」概念を検討し、その主張が政策的判断であることを明確にし、被告国が確定的影響について100mSvを事実上の「しきい値」であると主張している目的は、将来のがん発生についての責任回避にあることを基礎づけたもの
(2) 準備書面41
被告国が合理的であると主張する福島原発事故当時の防災指針は、50mSv以上の被ばくでようやく住民を避難させるという不合理なものであること、子どもに対する安定ヨウ素剤の投与指標は、1999年WHOのガイドラインに従って甲状腺等価線量10mSvとすべきだったのであり、100mSvと定めていた防災指針は不合理であったこと、チェルノブイリ原発事故の際、1000万人の子ども、700万人の成人に安定ヨウ素剤を服用させたポーランドの措置は、小児甲状腺がんが全く発生せず、服用の副作用もほとんどなかったことから国際的に賞賛されたが、そのポーランドにおけるセシウム137による土壌汚染は、最もひどいところでも37000ベクレル/㎡であり、福島よりもはるかに軽度であったこと、福島県立医大の関係者には安定ヨウ素剤を服用させながら、それよりもはるかに高い線量にさらされていた子どもたちに服用させなかった福島県知事の措置は、裁量権の逸脱であること、神戸の郷地秀夫医師の学会発表によれば、福島県及びその周辺地域からの避難者や保養者を検査した結果、多くの子どもに甲状腺自己抗体の陽性者が認められ(従来のデータでは、子どもの甲状腺自己抗体の陽性者はほとんどなかった)、被ばくによる自己免疫性疾患の増大が危惧される状況にあること等を主張したもの
(3) 準備書面42
被告福島県は、2011年3月30日にオフサイトセンターに学校再開の基準を尋ねる文書を送付していることから、学校再開を判断するために必要な知識を持っていなかったことが窺えるが、その被告福島県が、その前日の3月29日に県立学校の始業式を例年通りに実施する旨の不合理な通知を出しており、これが県内市町村教育委員が例年どおり、始業式を実施する旨の判断にも影響を与えたと考えられること等を主張したもの
(4) 準備書面43
福島県立医大では、小児甲状腺がん患者の情報を一元的に管理するためのデータベースを作っており、福島県内のほとんどの小児甲状腺がん患者の情報を持っていると考えられること、被告福島県は、その情報を公開する義務があること、その義務の発生理由として、①小児甲状腺がん患者の情報は福島県の支配領域内にあるところ、福島県は、県内の子どもたちの健康を守るために、この情報を県内の子どもたちや保護者たちに提供すべき作為義務を負うこと、②国には、福島原発事故の発生の責任者(先行行為の責任者)として、住民の健康被害調査を行い、その情報を子どもたちや保護者に提供する責任があるところ、福島県は、国の委託を受けて県民健康調査を実施しているのであるから、その提供責任も引き継いでいると考えるべきこと等を述べたもの原告側としては、今後、現在の福島で子どもが生活することに健康上のリスクについて専門家の意見書を提出して主張を補充したいと考えています。

2 被告福島県は、県民健康調査において「経過観察」とされた子どもたちからの甲状腺がんの発生件数を明らかにせよとの原告らの要求を改めて拒否しました。また、被告国は、原告からの「原子力緊急事態宣言」の内容についての求釈明に対する対応を留保し、次回までに対応を明らかにすると述べました。

3 裁判所は、子ども人権裁判については、議論が煮詰まってきたとして、当事者に対し、主張整理案を提示しました。また、今後、子ども人権裁判と親子裁判を最後まで併合して進めるのか、どこかの時点で分離するのかについて、当事者に意見を求められました。これについては、検討したいと思います。いずれにしても、子ども人権裁判については、終盤に入ってきました。
以上


12回子ども脱被ばく裁判 陳述書

 私は、政府や福島県が、事故前に定められていた原発事故対応の手続を守らなかったゆえに、避けることができたはずの被ばくを住民とりわけ子どもたちに強要した点を中心に陳述します。
 原発事故の責任には、大きく分けて「事故を発生させてしまった責任」と「避けることのできた被ばくを避けさせなかった責任」の2つがあります。
 前者については、今年3月の前橋地裁判決でも、今年9月の千葉地裁判決でも、先週の福島地裁判決でも、津波到来は予見できたし、対策も可能であったため、事故を防ぐことは可能であったと結論されているとおりです。
 私自身は、後者の責任(避けられた被ばくを避けさせなかった責任)が重大であると考えています。
 まず、原発事故が発生した際、どのように対応しなければならないかということは、細かいところまで立ち入ってその手順が定められていました。これは、「原子力防災」と呼ばれていますが、その目的は、住民をいかにして被ばくから守るかということでした(松野元『原子力防災』〔創英社、2007年〕)。
 たとえば、「緊急時環境放射線モニタリング指針」(以下、指針と略記)では、実測と予測の2方向で、放射線拡散をモニタリングするよう取り決めていました。実測の際には、計測する場所も、使用する機器も、計測方法まで細かく指示されており、携行品について、乾電池一本、鉛筆一本まで取り決められていたのです。予測の際も、放出源情報がない場合も含め、拡散予測の方法が細かく決められ、その方法に従ってモニタリングすることとされていましたし、予測結果を送りつける先もあらかじめ決まっていました。
 現場では、実測も、予測も粛々と行われていたし、そのデータの示すところに従えば、福島県民にとどまらず、関東や東北地方の広い地域で避難が行われなければならなかったはずです。一号機建屋が吹き飛ぶ前に、すでに広い範囲で132テルルが検出されていました。すなわち、自然界に存在せず、半減期3日、沸点1,400のものが、2011年3月12日の朝には大熊町・浪江町で、昼過ぎには福島第一原子力発電所から20㎞以上離れた南相馬市で福島県原子力センターによって検出されていたのです。このデータが示すのは、メルトダウンの蓋然性であり、住民被ばくの可能性でした。
 しかし、福島県はこのデータを隠蔽し、住民の避難に活かすことはありませんでした。このデータが、原子力安全・保安院を通じて公表されたのは2011年6月3日のことです。
 SPEEDIを統括していた原子力安全技術センター(当時)が、装置を緊急モードに切り替えて1時間ごとの拡散予測データを、事前に指針で定められていた部署に送付しはじめたのは、地震発生から2時間足らずの3月11日午後4時40分のことです。しかし、政府も福島県も一連のデータを住民には公表せず、住民の避難に活かすことはありませんでした。これらのデータが一部公開されたのは2011323日で、全面的公開は同年5月になってからでした。
 福島県は、3月13日午前10時半過ぎにFAXで県庁に送られたSPEEDIの拡散予測データについて、非公表の口実として放出源情報を挙げています(『福島民報新聞』201157日付)。しかし、指針は、放出源情報がない場合も想定した上で、その際の試算方法も明示しています。また、福島県は電子メールで届けられたSPEEDIの拡散予測データについて、「気がつかず」「消去した」という説明をしています(『福島民友新聞』、『東京新聞』、ともに2012年3月22日付)。しかし、メールによる情報提供を要求したのは福島県原子力センター自身であり、意図的な証拠隠滅としか考えられません。
こうして、「住民をいかに被ばくから守るか」という、原子力防災の目的はないがしろにされ、住民は情報の隠蔽ゆえに被ばくを避けることができなかったのです。放射性物質の降り注ぐ中、一人10リットルあてで配給された水を求めて多くの市民が、赤ん坊まで連れて屋外で長い列を作っていました。危険を知らされていれば、こういう事態は避けられたのではないでしょうか。そうすれば、将来への懸念も減らすことができたはずです。
 そればかりか、その後に始まった行政による「安全宣伝」は、原子力防災がないがしろにされたこと自体を隠蔽し、正当化するものでした。放射線被ばくの危険性は過小評価され、現実に出現し始めている健康影響(たとえば、小児甲状腺癌)も過小評価された被曝量を根拠に「被ばくの影響とは考えにくい」と結論づけています。
もっとも、福島県が放射線被ばくを本気で「安全」と考えていたわけでないことは、福島県立医大の職員(40歳未満)が安定ヨウ素剤を服用していたことからして明らかでしょう。住民には放射線被ばくを強要し(たとえば、自主的に配布した三春町には県が回収を指示しています)、身内には安定ヨウ素剤を服用させるというダブルスタンダードが許されてよいはずはありません。
 総じて、住民に不必要な放射線被ばくを強いたという論点について、被ばくの予見可能性はありました。それゆえ、原子力防災という形で、いろいろな分野において(今回は、時間の都合でモニタリングの話だけを例示)、原子力災害が発生した際の対応手順(被ばくを避けるための手順)が細かく決められていました。しかも、それらの手順に従って、現場では粛々とモニタリングが実施されていました。そのモニタリング結果に基づき、ルールに従って適切に対応すれば、住民の被ばくの大部分は回避することができたのです(3月12日実測値に基づき、SPEEDIの拡散予測を利用して回避策がとられれば住民の被ばくの大部分が回避可能でした)。
 にもかかわらず、政府や福島県は、それら事前に定められた手続きに従わず、実測データ・予測データの双方を隠蔽した上に、住民を積極的に現地に引き留めるなど、「故意」に原子力防災の目的とは正反対の行動をとりました。さらに、証拠隠滅や、自身の行為を正当化するための安全宣伝まで行っています。その結果、子どもたちに余計な被ばくをさせ、将来の健康不安につながっています。
こうしたことが、原発事故後6年半にわたって続けられてきたし、現在も続いているのは異常だといわざるをえません。こうした異常が、今日、立憲主義や法の支配を危機に陥れているものの正体ではないかと私は考えます。
 上記の連鎖を断ち切り、法や手続きに従った行政が回復されることを願ってやみません。そのための適切な判断を、裁判所には切に願うものです。
以上

第12回口頭弁論期日の書面がアップされました。
子ども脱被ばく裁判弁護団のページ:http://fukusima-sokaisaiban.blogspot.jp

裁判の報道です。ご覧ください。

民の声新聞:http://taminokoeshimbun.blog.fc2.com/blog-entry-199.html